女性の悲しみを歌う“ドラマチック艶歌”と、どんなジャンルもこなす歌唱力でファンを引きつける川野夏美と、「満ち潮」の作詞を手掛けた及川眠子先生にそれぞれお話を伺いました。
曲名
歌手名
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―新曲の「満ち潮」はパートナーと別れた悲しい歌ですが、海辺に立つ姿には希望も感じることができますね。
そうなんです。暗い印象の失恋の歌ではなくて、次へ向かおうとしている女性のしなやかさを感じていただければと思います。“悲しむための愛”や“待ちくたびれた日々”が終わって、相手も変わったけれど自分の気持ちも変わったことに気付いて一歩踏み出そうとしている女性の姿を歌っています。
―この曲の印象はいかがでしたか?
初めから歌の世界に入ることができ、とてもうたいやすいと思いました。出だしの部分の“ドアが閉まるとき”から主人公になりきれる、なじみやすくて面白い曲だと思います。
―及川眠子先生が、誰のどんな要求にも応えられる歌手だとおっしゃっていました。
私はディレクターさんに言われることを必死でつかみにいくような感覚でしたが、そこに新しい発見があったり、自分にこんな声があったのかと驚いたりしたレコーディングでした。
―カラオケで歌うときのアドバイスをお願いします。
一番キャッチーな“Bye bye my love”のフレーズは、悲しい歌詞に引っ張られずに、明るく乗った方が、かえって切なさが表現できると思います。その手前の“波のように”という音程の低い部分とのメリハリを意識すると歌いやすくなります。
―ファンの方たちと、とてもいい関係を築いていらっしゃるそうですね。
本当にどうしてこんなに良くしてくださるのだろうと、いつも感謝しています。ファンの集いなどで直接お話をする機会もあるのですが、私が歌う作品の舞台を巡るというテーマで旅を楽しまれている旅好きなファンの方々もいらっしゃって。私の歌に登場する土地は特に観光するところもない町も出てくるのですが、逆に何もないところが面白く、その土地をただただ味わうために訪れるそうなんです。そういう旅の仕方ってぜいたくでいいなと思いますね。いろいろな形で応援してくださるファンの方たちのために、私にできることを精いっぱいやっていきたいと思っています。
―令和を迎えた新時代への抱負を教えてください。
これまで昭和の名曲をたくさん歌わせていただいて、常にその偉大さを感じています。これからの令和にも昭和の曲のように親しめる歌がたくさんできるんじゃないかと思っていますし、その歌を私もうたいたいし聴きたい。今39歳で、歌い手として変化していくのを私自身が楽しんでいます。大人のラブソングがやっと背伸びせずに歌えるようになってきたかなと。これからが楽しみです
[Profile]
大分県生まれ。1997年『クラウン ニューアーティスト オーディション』に合格し、’98年「あばれ海峡」でデビュー。2013年の「女の空港」以来、ドラマ性豊かな歌詞と歌謡曲テイストの“ドラマチック艶歌”路線で人気を博す。
―今回の詞のイメージはどんなところから作られましたか?
「満ち潮」のカップリング曲である「仇の風」の方が先にできていて、その続編というか同じイメージでどう展開していくかを考えて作ったんです。ディレクターからは、おもむきのある町のドラマをと言われていたので、別れた彼の故郷から海辺の町にやって来るという設定にしました。歌詞に出てくる“朝来帰(あさらぎ)”は和歌山県にある漁港の名前で、いつか詞の中で使いたいとずっと思っていたのです。私は24歳まで和歌山で過ごしていたのですが、串本や勝浦へ遊びに行くとき国道沿いで見かける“朝来帰”という標識を見て、なんて美しい地名なんだろう!と感動していたんですよ。古語がルーツらしいのですが、“朝に来て帰る”ってとても美しい言葉じゃないですか。通りすがりの人たちは気にも留めないような地名でも、文字を扱う人間は気になるんですよね。
―この曲で気に入られている詞は“朝来帰の海を”でしょうか?
それを2番に持ってきたところですね。1番で彼がバスに乗って去っていくという場面を見せて、その情景を広げるために海辺の景色の朝来帰を使いました。
―朝来帰のような言葉やイメージを普段からたくさんストックされているのでしょうか。
そうですね、フレーズなどのメモはしないですが、大事なことはすべて覚えているので、常に頭の辺りにフワフワ浮かんでいるイメージを、どうつかまえてくるかという感じ。
―言葉で時流を捉える力がすごいと思います。
その時代の言葉を使っているだけなんです。わざと“バズる”というはやり言葉を入れてみたりもします。世代的に洋楽を聴いて育っているので、海外のポップスや洋楽のカバーを手掛けることも多いですね。
―最後に川野夏美へのメッセージをお願いします。
歌をすごく大切にうたおうとしているのが、レコーディングでもよく分かります。これからもその姿勢を貫いてください。
(取材・文:嵯峨紀子)
[Profile]及川眠子(おいかわ ねこ)
1960年和歌山県生まれ。’85年『三菱ミニカ・マスコットソング・コンテスト』最優秀賞作品「パッシング・スルー」で作詞家デビュー。Wink「淋しい熱帯魚」(『第31回日本レコード大賞』受賞)、やしきたかじん「東京」、『新世紀エヴァンゲリオン』主題歌「残酷な天使のテーゼ」(『2011年JASRAC賞』金賞受賞)などヒット曲多数。ミュージカル『プリシラ』『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』などの訳詞や舞台の構成、CMソング、エッセイなどの執筆や講演活動も行っている。
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