声も身体もイキイキ若返る!
歌うことのアンチエイジング効果とは

2023.10.03
最近、声が出づらい、声がかすれる……。その症状は、加齢による「声の老化」かもしれません。なんとか「老け声」を防ぐ方法はないかと調査を始めたSinging編集部。今回は、国内外のアーティストに楽曲提供とボーカルディレクションを行われてきたミニー・Pさんにお話を伺い、声が老化する原因や、老化を改善できるボイストレーニングについて詳しく教えていただきました。声のアンチエイジングにもつながる「歌のチカラ」に注目です!
        • 声の老化は身体の老化。
          トレーニングでどちらの老化もゆるやかに

        • —「声の老化」とは、どのような状態を指すのか教えてください。

          人によって異なりますが、以下のような状態が挙げられます。

          ・喉に何かが絡んでいるような感覚がある
          ・声が枯れる、しゃがれる、震える
          ・声に張りがなく、大声が出ない
          ・すぐに息が上がる
          ・1曲歌うだけで精一杯。歌い終わると声が枯れる

        • —声が老化する原因について教えてください。

          身体の老化とともに、声帯の状態が変化することがひとつの原因です。女性は、ホルモンバランスが変化することで声帯がむくみ、声が低くなって高音が出づらくなります。男性は加齢とともに声帯の周りが硬くなることで、しっかりした低音域が出づらくなります。声が軽く高くなったり、声そのものが出づらくなったりしますね。

          もうひとつの老化原因は、筋力の低下です。内臓の震えを止めていた筋肉が弱り、声のコントロールが難しくなります。さらに、喉に力を入れないと声が出なくなるため、声枯れもしやすくなります。唾液の量が減り、誤嚥や咳が増えることも声枯れの一因となるようです。

        • —声の老化を早めてしまう習慣はありますか?

          喉に力を入れて喋り続けることです。一方で、しゃべらない、歌わないことも老化を早める原因となります。

          辛い物やアルコール飲料の摂りすぎや、タバコも声の老化を早めるので要注意です。喉の健康のために特に重要なのは、タンパク質と鉄分。鉄分の多い枝豆や小松菜、ほうれん草といった野菜を摂りましょう。また、肉や魚、卵や豆腐など、違う種類のたんぱく質を毎日摂ることを目安にするといいですね。それ以外には、多彩な食材を意識して摂る。できるだけ良質な調味料を使うといったことも心がけるとよいと思います。

        • —声が老化することでのデメリットはあるでしょうか。

          声の老化と身体の老化はイコールです。声の老化は、肺や筋肉、内臓が弱ってきている証拠でもあります。声が出なくなると、力を入れることが難しくなります。風邪で喉が痛くなった時に力が出なくなった経験があるかと思います。重い荷物を持つ時も、実は喉で踏ん張っているのです。また、年齢を重ねても歌手として活躍されている方は、見た目も若々しく、健康的な方が多いですよね。ぜひ、声もトレーニングしてみてください。声が出るようになると、元気になって若返ります!

        • 歌うこと、ボイストレーニングは
          心身のアンチエイジングに効果あり!

        • —声の老化の改善方法はありますか?

          高い声と低い声を交互に出していくボイストレーニング(以下 ボイトレ)で改善できます。声は整形手術ができないので、自分で訓練するしかありません。私が提唱している「ストレッチボイトレ®」は、身体全体をやわらかくしながら、どなたでも無理なくトレーニングできます。

        • —すでに声が老化していても、ボイトレで改善は可能でしょうか?

          もちろんです。60代でボイトレを始めたある方は、声が出づらいことに悩まれていましたが、お父さまも同様だったので家系なのだと半ば諦めていたそうです。しかし、トレーニングを重ねると高音のロングトーンまで出るようになり、ライブにも出演され、周りの方々も驚かれているようです。

        • —ボイトレに取り組むと、顔のくすみやたるみが改善される効果も期待できると伺いました。その理由について教えてください。

          歌うことで血流が良くなり、呼吸が深くなって酸素が全身に行き渡ると同時に、日常生活では使いづらい表情筋を刺激できることが要因だと思います。私のボイトレでは、最初に生徒さんの姿勢をチェックしますが、姿勢を良くするだけでも血流が良くなり、喉のこわばりもとれやすくなります。

        • —その他、ボイトレを行うことで得られる効果や、メリットがあれば教えてください。

          健康効果はもちろん、結果的に歌うことでコミュニケーション能力が高まります。顔と声の表情が豊かになり、言葉もはっきりと伝わることで、自分とも人とも仲良くなれるのです。声を鍛えることが、楽しい人生のベースになると思います。

        • —声の老化改善のために、手軽に取り入れられる習慣があれば教えてください。

          自宅で好きな歌を流し、家事やストレッチをしながら歌う。または、踊りながら歌うことをおすすめします。大切なのは、歌いながら身体を動かすこと。身体全体がやわらかくなり、喉だけに負担をかけずにトレーニングできます。

          #4「永久保存版! 驚くほど音域が広がるボイトレ」
          https://youtu.be/O51U9bvZ8xc?si=3HV7lgy2C0qQj23E

        • “歌のチカラ”が人を魅力的に成長させ、
          社会を健やかでハッピーにする

        • —プロ・アマ問わず、多くの方々にボイトレを行われたミニー・Pさんだからこそ感じた“歌のチカラ”を教えてください。

          ボイトレで歌声だけでなく話し声の質まで変わり、魅力が増して成功するアーティストを数多く見てきました。まさに、“歌のチカラ”を感じます。

        • —第一興商が掲げる「Singing 歌いながらいこう」をご覧になっての率直な感想や、共感いただけるポイントがございましたらお聞かせください。

          歌うことは楽しいだけではなく、心身の健康にとっても良いことだと思います。いつも楽しく歌っているおばあちゃんや、おじいちゃん、お父さんやお母さんを見て育つお子さんは、きっと明るく健康な大人に育つはずです。ハッピーで健康な方が増えれば、世の中も明るくなっていくと信じています。私も音楽を通して、明るく楽しく健康な社会づくりに貢献していきたいです。

監修者Profile

ミニー・P

ボイストレーナー、音楽プロデューサー、作詞作曲編曲家。国内外のメジャーアーティストのプロデュースやボーカルディレクションを行う。1995年、ウイングスミュージックスクールを開校し、歌がうまくなるミニー・Pメソッドを体系化。「声を磨けば、人生が変わる」(集英社インターナショナル刊)が好評発売中。